薬膳とは、中医学の考え方に基づいた食事のことで、体調不良を改善し、
健康的な体作りを促すことを目的としています。
西洋医学では、病気の患部に注目して診断し、投薬治療で早く治すことを目指します。
一方、中医学では体全体のバランスや患者の体質を診て、普段の生活の中から病気に
かからないよう予防をしていきます。
体の不調が症状として表れるのは「病気」ですが、明らかな症状が出ていなくとも、
体のバランスが崩れている状態を「未病」と言います。薬膳では中医学の考え方をもとに、
その日の自分の状態に合った食材を摂ることで、「未病」を改善していきます。
また、美容効果も期待されています。
薬膳とは…
毎日の食事
選ぶ食材は私たちの健康や健康寿命に、直接影響を与えます。食べたものが消化され、エネルギーや血になり、毎日歩いたり、しゃべったり、物を見たり、何かをつかんだりできるわけです。私たちが何気なくしている日常は、食べることなくしては行えません。
季節や体質などに応じて適した食材を選んで食べれば、色んな病気から身を守ることができ、老化を遅らせたり、肌を健康に保てたり、不快な症状が気にならなくなります。
薬膳とは
薬膳とは、目的を持って食材を選び、美味しく調理し、楽しく食べること。目的というとやや大げさに聞こえるかもしれませんが、例えば季節に合わせる、体質に合わせる、美肌や老化防止、免疫力アップ、冷え症・便秘・不眠・生理痛・更年期・気血の巡りを改善、病気治療に対するサポートなどです。
例えば真夏に食べるスイカ。みずみずしくて甘く、とても美味しいですね。日本の夏は蒸し暑く、体温を下げるために、冷たい物が欲しくなります。スイカには身体の余分な熱を冷まし、むくみを取る働きがあります。だから夏にスイカを食べることだけでも薬膳といえます。
また秋には梨を食べる。梨は夏の終わりから秋の初めにかけて旬を迎えます。その頃の気候は、まだ暑さが残っていても空気は徐々に乾燥し始め、咳が出やすくなる季節です。梨は身体を潤しながら、少し身体に溜まっている余分な熱をとり、咳を鎮めてくれる働きがあります。秋の初めにぴったりな食材です。
こんな風に季節の変化に合わせて、着る物を変えるように食べ物を変えていく。またこんな考え方を日々の生活に摂り入れることで、健康に毎日を生き生き楽しく、バランスのとれた心と体の状態を目指すことが薬膳です。
食材?漢方?
実際に生薬を使った薬くさい料理も、もちろんあります。これは病気の予防や治療のため、または病気治療をサポートする時などに、そのような薬膳を施膳することがありますが、普段はスーパーで売っている食材で十分健康を維持でき改善できます。
「スーパーは家庭の薬箱」食材一つ一つ、形も味も匂いも違います。どれ一つとして同じものはなく、私たちの身体への効果もそれぞれ違います。季節や症状に合わせ、食材を選び組
み合わせる、これが薬膳の醍醐味です。